コラム COLUMN
メンテナンスの間隔の決定 歯周病が治ったと判断する基準について
歯科のメンテナンスはどのように決定しているのか、疑問に思う方も多いように感じています。
歯周病の治療は、
検査→治療→再評価→メンテナンス
という流れで行います。
今回のテーマは、どのようにメンテナンスの間隔を決定しているのか、またなぜメンテナンスが必要なのか、です。
少しでも担当者との共通認識をお持ちですと、お互いに理由を理解して、納得して、メンテナンスにお越しいただけると思っています。
〜歯周病学会ガイドラインより〜
歯周基本治療や歯周外科治療、あるいは咬合機能回復治療によって、プロービングデプスが
4mm未満となり炎症を認めない場合を「治癒」とし、メインテナンスを開始する。
とあります。
歯周病を評価する基準は、大まかに以下の2点です。
①歯周ポケットの深さ(プロービングデプス)
②歯肉からの出血
これ以外にも、全身疾患、むし歯の問題、噛み合わせの問題等、他のリスクを加味してメインテナンスの間隔は決まります。
【歯肉炎・歯周炎のメンテナンス評価】
プラーク性歯肉炎は、歯周基本治療を行うことにより健康を回復し、その後に行う再評価検査によって「治癒」あるいは「進行予防」の状態か、または「病状安定」か「病状進行」かを判定します。
「治癒」の場合
再評価の結果
①すべてのポケットが4mm未満
②出血なし
③根分岐部病変なし
④細菌数が少ない
⑤その他
歯周治療はこの時点で終了ではなく、適切な間隔でのメインテナンスを行うことで維持することができます。
▶︎当院では、3ヶ月毎のメンテナンスをお勧めしております。
「進行予防」場合
令和2年度の保険診療報酬改定に伴い新たに導入された保険上の考え方です。
再評価検査の結果
①すべての部位が4mm 未満のポケットに回復したが歯肉の一部に炎症(出血や腫れ)が存在する
②出血はないが、根分岐部病変がある
③細菌数が多い
④その他(全身のリスク状態の評価)
継続管理を怠ると歯周病の進行の可能性が高いことから歯周病重症化予防治療を実施します。
▶︎当院では、1〜3ヶ月毎のメンテナンスをお勧めしております。
「病状安定」の場合
再評価検査の結果
①歯周組織の多くの部分は健康であるが、一部分に4mm 以上の歯周ポケットがある
②軽度の歯の動揺
③根分岐部病変があるが、炎症を認めない
④噛み合わせの問題がある
⑤その他(糖尿病などの全身疾患があるなど)
病状安定のなかには全身性疾患などのリスクにより歯周外科治療が実施できない場合も含まれ、頻繁に再評価検査とメンテナンスを行う必要があります。
▶︎当院では1〜2ヶ月毎のメンテナンスをお勧めしております。
「病状進行」の場合
継続管理(メインテナンス中)において
①歯周ポケットが4mmを超える
②歯肉の検査時の出血が認められる
③歯肉の退縮が2mm以上ある
④ エックス線画像における骨吸収の進行
⑤歯の動揺が増す
⑥その他
このような場合には、歯周病が進行したと考え「病状進行」と判定し、歯周治療を再度行う必要があります。
また、歯周治療により、
歯周ポケットが4mm 未満に改善したが、歯肉退縮や根分岐部の露出といった状態で「治癒」と判定することがあります。
こうした歯根露出を伴っての「治癒」においては、根面う蝕のリスクが高くなります。
このような場合、当院では1〜3ヶ月毎のメインテナンスは重要であると考えております。
患者様のご都合などで来院が難しいこともあるでしょう。
かかりつけ歯科医院で担当の歯科衛生士と相談して決めていく事でお口の健康を守れる可能性が格段に高くなります。
どうぞご相談下さい。