コラム COLUMN
1 日に何回、飲み食いしていいの?
前回のコラムをご覧いただいた方は
ハチミツはう蝕にならない?
ポテチはセーフ?アウト?
について、もう回答が出ていることだと思いますが、おさらい!
患者さんの中には、砂糖(スクロース)のみがう蝕の原因で、
ハチミツや果汁、水飴はう蝕にならないと思い違いをしている方がいます。
正しい情報をお伝えしましょう!
ハチミツ
花の蜜のスクロースという糖をハチの酵素でグルコースとフルクトースという別の糖に分解したものです。
抗菌作用があっても糖がとても多いので、砂糖と同様にむし歯の原因になります。
水飴
デンプンを酸や酵素で分解し、糖の混合物(グルコース、マルトースなど)にしたものなので、むし歯の原因となります。
果汁100%のジュース
砂糖を加えていなくても、果物には天然にグルコース、フルクトース、スクロースなどの糖が含まれていて、果汁や濃縮還元果汁、果汁パウダーなどもむし歯の原因になります。
さまざまな糖の溶液で洗口した際のバイオフィルム中のpHを見てみるとラクトース、グルコース、マルトース、フルクトース、スクロースのどれも臨界pH5.5を下回り、う蝕の原因になることがわかります。
ポテトチップス、おせんべい
甘くないお菓子やおにぎりは、多糖類のデンプンが主成分で、砂糖は使われていません。
これらはう蝕の原因になるのでしょうか?
生のデンプンと調理したデンプンを食べた後にプラーク中のpHを計測した研究では、生のデンプンを食べた後にはpHが臨界pH以下にならなかったのに対し、調理したデンプンでは臨界pHを下回りました。これは加熱することによりデンプンが変性して唾液中の酵素(アミラーゼ)で分解されやすくなり、細菌が代謝できるマルトースなどが生成されるためです。
また別の実験では……
ポテトチップスを食べた後の歯間部のプラークでpHを計測すると、付着して間もないプラークではpHはさほど下がりませんが、5日間成熱させたプラークでは臨界pHを大きく下回り、pH4.5付近まで下がりました。
何日もプラークが付着した状態だと、ポテトチップスのようなデンプン主体の甘くない食べ物でも、う蝕を引き起こすと考えられます。
間食などで砂糖を頻回に摂取すると、歯面の脱灰時間が長くなり、う蝕のリスクとなります。
う蝕リスクを低く抑えるためには、糖を含む飲食を1日4回までにするとよいでしょう。
う蝕の発症には多くの因子が関わります。
むし歯を削らない治療『う蝕のコントロールに関わる5つの因子』から糖について考えていただきました。
次回は 酸 について
コーラに歯を漬けると、、、
お楽しみに!